まちネタ

衝撃!バルセロナの自転車利用環境

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金沢レンタサイクルまちのり。

 

今回は、4月に訪れたスペイン・バルセロナの自転車利用環境(自転車の通行空間や駐輪環境など)についてご紹介。あれから早や2か月以上が経過・・・時の流れの速さを実感する今日この頃です。

少し前のブログでは、バルセロナで大人気のバイクシェアリングシステム「Bicing」の潜入リポートを掲載していますので、復習の意味も込めてぜひご覧くださいませ。

バルセロナ「Bicing」潜入リポート!

 

さて、バルセロナの自転車利用環境。日本でどっぷり仕事をしているワタクシにとっては、いろいろと衝撃的なことがありました。とりあえず、8つの衝撃をさらりと写真でご紹介していきますね~♪

 

▼衝撃その1:自転車通行空間が道路の真ん中に!

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なぜかランナーの方も写っていますが、なななんと、自転車の通行空間が道路の真ん中に設けられています。日本や欧州の他都市では、道路の両サイドに整備されることが一般的であり、後述するようにバルセロナ市内でもサイドに設けている区間はありますが、幹線道路ではこのように道路の真ん中に整備する形態が多くみられました。

しかも、多くの自転車利用者が日常的に通行しており、自転車専用信号が完備されているところもあります。なぜこのような形態が実現しているのか。まだ十分に情報収集できていませんが、おそらく、クルマが中央分離帯をまたいで左折(日本では右折)することを規制しており、そうすると両サイドに設けるよりも自転車とクルマの交錯が少なくて済む、という合理的な理由があるのではと考えています。

沿道アクセスの問題はやや感じますが、道路の端に比べて障害物が少なく、速く快適に自転車をこぐことができそうです。ぜひとも設計思想を聞いてみたいところです。

 

▼衝撃その2:トラムと自転車が並行して走る!

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上記「衝撃その1」の別バージョンとして、トラム(路面電車)に並行して走る自転車通行空間もみかけました。これもクルマとの交錯を避けるためではないかと推察しています。もしかすると、少し前まではクルマの車線だったかもしれませんが、大胆に道路空間を再編したようなあともみられます。すごい!

 

▼衝撃その3:クルマの通行空間を自転車通行空間に転用!?

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生活道路的な一方通行の道路ですが、路面表示をたくさん書き換えた跡が残っており、ここももしかしたら車道を自転車通行空間に転用したのではないかと感じます。また、上記の衝撃にも共通しますが、バルセロナでは対面通行の空間づくりが主流となっています。これは自転車利用者の移動時の利便性への配慮があるのかなと思われます。

 

▼衝撃その4:緩速車線で自転車とクルマを共存化!

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自転車専用の通行空間を設けられない区間では、側道を緩速車線(30キロ規制などでクルマの速度を抑える車線)とし、自転車マークをドーンと描いて共存空間としています。ここでは自転車は一方通行であり、クルマと同じ方向に走ることとなります。

 

▼衝撃その5:細街路では自転車マークをどーーん!

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バルセロナ旧市街の歴史地区などでは、昔ながらの細街路網が形成されており、クルマ1台くらいの幅しかないところもあります。そのような生活道路空間では、ゾーン30の文字と自転車マークを道のど真ん中にどどーんと描いています。また、ガウディ通りでは、真ん中と両サイドに歩行者空間があり、その間の車道が自転車とクルマの共存空間となっています。素晴らしい道路空間の使い方。やはり、しっかりと路面に描いてドライバーへの周知を図ることが重要ですね。

 

▼衝撃その6:小規模分散型の駐輪環境づくり!

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話は変わって駐輪環境について。

バルセロナ市では、市営地下駐車場に比較的規模の大きな駐輪スペースやバイクボックスを設ける一方、小規模分散型の駐輪スペースをかなり密に整備しています。自転車利用者は、目的地の一番近くまで行きたいもの。その気持ちに応える方策として、小さな規模の駐輪場をまちなかに散りばめることで、きめ細かく駐輪需要に対応しています。これは日本でも見習うべき部分ですが、自転車の利用率が日本よりかなり少ないバルセロナだからこそ適しているのかもしれません。

 

▼衝撃その7:地下鉄にも鉄道にも自転車を乗せられる!

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これは欧米各都市では当たり前のように見られる光景ですが、バルセロナも当たり前となっています。地下鉄に持ち込めるというのはすごいですね。

 

▼衝撃その8:もはや自転車だけではない、多様なモビリティ!

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最後は、ついに自転車から逸脱・・・もはや自転車通行空間は自転車のものだけではありません。ベロタクシーはもちろん、セグウェイやその進化形の呼び名がわからない未来的な乗り物、電動スクーターなどなど、バルセロナのモビリティはバラエティに富んでいます。これも法規制などの具体的な内容を今後調べてみたいなと思います。

以前、バルセロナ「Bicing」潜入リポート!でも書きましたが、自転車利用環境を細かく見ていく中でも、やはり利用者の「幸せ」(happiness)に配慮されているように感じます。特に、道路空間をクルマから人・自転車等を主役として大きく転換しているように感じました。バルセロナはセルダ・ブロックの市街地を郊外に整備してきたこともあり、クルマでの移動も決して少なくありません。そんな中でも、しっかりとした都市交通計画を打ち立て、合意形成を図り、着実に実行していく。その秀逸なプランニングとプロセス、そして実現するパワーに驚嘆せざるをえません。

これから人口減少時代を迎え、道路などのインフラの使い方も見直すべき局面を迎えつつある日本。ぜひともバルセロナを良き手本として、都市交通改革を進めていくべきだなぁと感じます。

とはいえ、僕自身まだまだ勉強不足ですので、英語やスペイン語(カタロニア語)と格闘しながら、バルセロナの都市交通計画を少しずつ読み解いていきたいと思います。

ではまた。