全国自転車活用推進フォーラム~第6回自転車利用環境向上会議 in 愛媛・松山~【一日目】
日曜担当のm.kです。
先週の「準備編」に引き続き、今回は「全国自転車活用推進フォーラム~第6回自転車利用環境向上会議in愛媛・松山~」の一日目の様子について、写真でざーっとお届けします。
当日のプログラムはこちら。
▼北は北海道から南は沖縄まで、全国各地から集まった約370名の参加者が着席し、いよいよ開会!まずは愛媛県の中村知事、松山市の野志市長からご挨拶。知事と市長がそろい踏みでご挨拶いただくのは、過去の自転車利用環境向上会議ではなかったこと。自転車活用推進法の施行後初の会議であり、日本一の自転車施策を誇る愛媛県ならではの素晴らしいオープニングとなりました。
▼中村知事からは、苦難の連続であった愛媛県の自転車施策推進の経緯と、自転車新文化推進に向けた力強い決意のコメントを頂戴しました。中でも、自転車からの贈り物として「健康・いきがい・友情の輪」を挙げられたことがとても印象的であり、愛媛県が進める自転車新文化の礎になっていることを実感しました。既成概念にとらわれない企画力と実行力。素晴らしいリーダーシップに感銘を受けました。
▼野志市長からは、花園町通りにおける道路空間再配分の事例や、全国委員会の三国成子会長も関わった自転車安全マップの作成など、市内の自転車施策を着実に進めていることや、松山市長のご経験もある中村知事の方針を踏まえ、一貫した自転車施策を進めていく方針をお話いただきました。
▼続いて、基調講演として東京大学教授で愛媛県出身の羽藤英二先生より、「都市計画の潮流と自転車の未来」と題してご講演いただきました。モータリゼーションにより車主体となった都市空間を、人や自転車を中心とした「都市の陣営」へと変革していくことの大切さをわかりやすくお話いただきました。
▼続いて、講演1として、警察庁交通企画課の藤本課長補佐より、「自転車の事故防止対策の推進について」と題してご講演いただきました。自転車関連事故の全国的な動向や、その防止に向けた警察庁としての交通安全教育の取り組みなどをご紹介いただきました。
▼続いて、事例報告に移ります。3つの事例をご紹介いただきましたが、まずは沖縄県名護市の小野政策調整官より、名護市の自転車のまちづくりについてご紹介いただきました。名護市では愛媛県今治市と「自転車を通じたまちづくり交流協定」を締結するなど、自転車を内外の交流促進のツールとして積極的に活用されており、これからの発展が大いに期待されます。
▼事例報告の二つ目は、株式会社アーチヒーロー北海道の高橋代表より、インバウンドで盛り上がるニセコ町のサイクルツーリズムの取り組みをご紹介いただきました。冬のスキーだけでなく、それ以外のシーズンの付加価値を高めることを目的に、しっかりとしたビジネスモデルを基軸にガイドツアー等を実践されている素晴らしい事例であり、講演後も多くの都市の方々が関心を寄せていました。個人的には、ツアーガイドの育成方法や収支構造など、もっと具体的なお話をうかがいたくなりました。
▼事例報告の三つ目は、真庭市産業政策課観光振興室の栢野(かやの)上級主事より、真庭市の自転車まちづくりの取り組みについてご紹介いただきました。「真庭で散走サイクリング」と呼ばれるポタリングを通じて真庭市の知られざる魅力を発掘・発信するとともに、世界的サイクルギアメーカーである株式会社シマノや川崎医療福祉大学と連携し、健康増進効果を把握する面白い取り組みです。自転車に乗ることで市民の身体機能の向上やコレステロール値の改善等が定量的に確認されており、自転車の健康増進効果を示す貴重なエビデンスであると感じました。
▼続いて、NPO法人自転車活用推進研究会の内海事務局長(自転車利用環境向上会議全国委員会幹事)より、ポスターセッション発表の概要をご紹介いただきました。50件超のポスターについてわずか20分程度でご紹介いただくという何とも無謀な企画をお引き受けいただき、凄まじいスピードながら軽妙なトークでご紹介いただきました。
▼ここからは、会場を移動してポスターセッション及び企業・団体展示ブースの閲覧タイム。「企業・団体展示ブース」は今回初の試みでしたが、会場ロビーに出展された9つのブースに多くの来場者がつめかけ、出展社との交流が生まれました。
▼左から、株式会社OFO JAPAN、株式会社伸明・株式会社藤田住環境計画・NPO法人自転車政策計画推進機構、モバイクジャパン株式会社の3社。両サイドの2社は今話題の中国発の自転車シェアリング二大企業であり、モバイクジャパンは今年8月より札幌の一部地域でサービスを開始しています。
▼左から、札幌の自転車シェアリング「ポロクル」で有名な株式会社ドーコン、高齢者も安心の電動アシスト自転車を開発するケイズ技研株式会社、国内外の自転車シェアリング事情を研究している一般社団法人日本シェアサイクル協会の3社。
▼ケイズ技研が開発する二人乗り自転車。写真のように大人が乗っても軽い乗り心地を実現しており、ご高齢の方やハンディキャップを有する方の移動にも活用できる優れものです。
▼左から、自転車通行台数のカウントができる「エコカウンター」で有名な株式会社岩崎、二段式駐輪ラック等を開発するKYテクノロジー株式会社、「シクログ」などのサイクルイベントを企画・実施する株式会社Seabirdの3社。
▼国内では宇都宮市などでの採用事例を有する「エコカウンター」。コペンハーゲン等では自転車交通量を常時観測するツールとして活用し、自転車政策を評価・モニタリングするための基礎データが収集されています。
▼企画展示ホールには、50枚を超えるポスターが掲出され、それぞれの出展者による解説をしていただきました。昨年の静岡開催から始まったこのポスターセッションも掲出件数が倍増。講演を一方的に聞くだけではなく、全国各地の実践者の皆様と双方向の交流ができる時間として非常に意義深いプログラムとなっています。
▼こちらは金沢市歩ける環境推進課のポスター掲示板。
▼こちらは、地球の友金沢+まちのり事務局+金沢星稜大学地域スポーツマネジメントゼミの共同制作ポスター。このフォーラムに金沢星稜大学から西村先生や多くの学生の皆さんにご参加いただきました。心より感謝致します!
▼会場に華を添えてくださった「のってるガールズ」の皆さん&金沢星稜大学の皆さんの記念撮影。良い感じです♪
▼続いて、ホールに戻り、講演2として国土交通省自転車活用推進本部事務局の大野次長より、「自転車活用の推進に向けて」と題し、自転車活用推進法に基づく自転車活用推進計画の策定に関するお話など、全国各地のプレイヤーを鼓舞する熱いお話をいただきました。アクセスの都合上、大野次長ご到着まで奥田推進官が代行されました。
▼続いて、トークセッションでは、NPO法人自転車活用推進研究会の小林理事長のコーディネートのもと、愛媛県の4名のキーマンから貴重なお話をいただきました。NPO法人シクロツーリズムしまなみの山本代表理事からは、現在のしまなみ海道の盛り上がりを根底から支えてきた地域の方々との一体的な取り組みについて。愛媛県教育委員会の永井部長からは、高校生のヘルメット着用の推進に関する取り組みについて。愛媛県自転車新文化推進室の坂本室長からは、県内にとどまらず四国全土での自転車新文化推進を見据えた地域連携と実践について。松山市都市・交通計画課の石井課長からは、市内におけるハード・ソフト両面の自転車施策や交通安全対策についてお話いただきました。小林理事長の軽妙かつ的確な進行により、愛媛県の取り組みの凄まじさ・奥深さを垣間見たように感じます。一朝一夕では真似できないことですが、各都道府県が目指すべきロールモデルがここにあると実感しました。
▼一日目のクロージングは、自転車利用環境向上会議全国委員会の三国成子会長。登壇された皆様への御礼をはじめ、二日目の分科会につながるお話をいただきました。2012年の金沢開催から年々拡大するこの会議を牽引される三国さん。今回もプログラムの企画立案や登壇者の調整、分科会の組み立てなど、オモテには出ない部分でも大いにご活躍されました。
以上、盛りだくさんの一日目でした。
講演の資料等は、今後、自転車利用環境向上会議全国委員会から何らかのカタチで公開されるものと思いますので、その時が来ましたら本ブログでもご紹介したいと思います。
次週は二日目の様子をお届けしますね。ではまた。